松山市沖に浮かぶ興居島(ごごしま)。周囲約27キロ、約900人が暮らす島は人口減が進む一方で、観光地として日帰りから滞在型に変貌(へんぼう)を遂げつつある。
その拠点の一つとして4月、「島の駅ごごしま」が由良港のそばにオープンした。立ち上げたのは、島と松山を結ぶフェリーの運航会社社長、山下峰(たかし)さん(43)だ。
松山市によると、島民は1955年に5936人を記録して以降、2017年に1210人まで減少し、現在は914人(4月1日現在)になった。
島出身の山下さんは先代から会社を引き継ぎ、人が足りないときはフェリーの甲板員の仕事もこなす。大手住宅メーカーの営業職だった経験を生かし、2021年7月、島の空き家を移住や出店の希望者にあっせんする空き家バンク事業を始めた。これまで約100軒の空き家を扱い、約80人が移住してきた。
島ではここ数年、移住者らが営むカフェや飲食店が整備され、古民家を使った宿泊施設も10軒以上にのぼる。山下さんも22年、由良港近くの空き店舗を利用し、うどん店を開いた。
目指すは「滞在型」観光
それでも、危機感を抱いてい…